ペーパーバックの虜

洋書・翻訳書を中心とした読書ブログです

12~1月に読んだ本(16冊)

 

今年の新年の抱負として、読んだ本を月毎にまとめて記録することを掲げたというのに、気がつけば3月も終わり……。どうしてこうなった。

大変遅ればせながら、12~1月の読書をまとめてみます。

SNSとかで人の読書記録を見るのが大好きなので、同じような性癖の人が一人でも楽しんでくれれば嬉しいです。

 

 

総括

12~1月に読んだ総数は、16冊。

ジャンルの内訳は、

  • ノンフィクション 4
  • 児童書 2
  • ミステリー 3
  • 時代小説 2
  • ロマンス 3
  • その他フィクション 2

 

言語は、

  • 和書 5
  • 翻訳書(韓国) 1
  • 原書(英語)+訳書 6
  • 原書(英語、未邦訳) 1
  • 和書+英語版 3

 

以下、ジャンルごとに、あらすじと感想を紹介しています。

個別の記事を作成したものは、リンクを貼っています。

 

ノンフィクション

「死の貝:日本住血吸虫症との闘い」小林照幸

概要

かつて、山梨や広島など特定の地方で、腹が膨れ死に至る恐ろしい病気が蔓延していた。日本住血吸虫症という寄生虫による感染症。明治から昭和まで、多くの住民が苦しむなか、医師たちが原因解明に奔走し、地方病の根絶に向けて腐心する歴史を綴ったノンフィクション。

感想

多くの人が生き地獄を味わい病に怯え、医師たちが各地でリレーのようにして何とか原因を突き止めた。明治という時代で、医学も発展途中であり、僻地だから国からの援助も期待できない。感染源も経路もまったく不明から始まり、志の高い人々の尽力、執念、勇気が積み重なって恐ろしい感染症を根絶していく過程は、奇跡のようだった。

原因究明に貢献したのは医師や学者だけじゃない。まだ解剖が極度に忌避されていた時代に、生前に解剖を申し出て、病気の解明に大きな貢献をした農夫のなかさん。

私は穏やかなる明治の世で数十年生きてまいりましたが、学問がないことから、未だに世の中に何の恩返しもできておりません。(p.54)

私の死後は是非とも解剖して頂いて病原を発見して頂き、以後は地方病に悩む多くの人々を救って下さいませ。(p.55)

診察や研究に心血を注いだ医師たち。子どもが感染地を継がずにすむように、罹患を覚悟で感染源の水に入って働く親たち。茶碗と箸で必死に貝を集めた住民たち。こうした方たちの無私の精神がなかったら、今もまだ感染症に怯えながら生きなければならなかったかもしれない。実験で数多の動物も犠牲になった。

本当に読んでよかった。教科書の副読本とかになってもいいと思う。今まで甲府盆地を眺めて、ブドウとか桃とかいいなぁなんて呑気に思っていた自分が恥ずかしい。

 

「続ける思考」井上新八

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「ポンコツ一家」にしおかすみこ

概要

45歳の女性芸人が、認知症の母、ダウン症の姉、酔っ払いの父との暮らしを綴ったエッセイ。

感想

病気で感情が激しくなるお母さん、手助けが必要なお姉さん、あまり頼りにできないお父さんの3人を何とか1人で支えようと必死の著者。夫婦喧嘩を繰り返す父親に発した言葉が素敵で、とても共感した。

ここに居たい、幸せだと思うようにしてあげようよ。私は、最後は自分の人生まんざらじゃなかったなと思って逝って欲しいよ。(p.41)


出てくるエピソードがどれも強烈で、「大変」という言葉を通り越した状況だと思うんだけど、著者のコミカルなツッコミに思わず笑ってしまう。

その横に白い固形石鹸がある。皿を泡立てながら、私買ってないけどなあと、よく見たら切り餅だ。(p.78)

ヘビーな内容の出来事が続くのに、くすくす笑いながら読んだ不思議な本だったけど、それでも胸がつまって涙が出た箇所もいくつか。

一番心を動かされたのは、認知症の母のために、玄関に花を飾る著者の心情が語られるところ。

徘徊が始まった時、靴を履く目線のところに花があったら一瞬足を止めるかもって。(p.140)

こういう気持ちが、報われてほしい。

まさに「笑いあり涙あり」のエッセイだった。文章も読みやすくて短時間で読めるし、家族や介護の問題は多くの人が関心を寄せるテーマだから、いろいろな人に広く薦められる本だと思う。

辛くて苦しいだけに思える出来事も、ユーモアの力で読者を勇気づけられるような言葉に昇華する著者は、本当にすごい。

 

「もし私が人生をやり直せたら」キム・へナム

概要

パーキンソン病を発症した韓国の女性精神科医が、生き方について助言する本。

感想

専門医として活躍し、自身の医院も開業、2人の子供にも恵まれ、働きざかりの42歳に発病。以来20年以上にわたる闘病生活を経て気づいたことを、人生のヒントとして読者に語りかける。

医師として働きながら育児もしつつ義父母の食事の世話までしてた(のに姑にいびられる)のは驚愕。韓国の女性は大変だ……。ものすごく目新しいことは書いてないんだけど、誠実に書くと結局、よく言われる当たり前のことに落ち着くような気もする。完璧主義をやめる、ユーモア大事、他者との関わり……等。

モリー先生、黒柳徹子、トルストイなど、いろいろな書籍からの引用が面白かった。類書だと「モリー先生との火曜日」のほうが好きだけど、こちらの方が読みやすく具体例が身近に感じる。

 

児童書

「穴」ルイス・サッカー

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「ギヴァー 記憶を注ぐ者」ロイス・ローリー

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ミステリー

「キュレーターの殺人」「グレイラットの殺人」「ボタニストの殺人」M・W・クレイヴン

 

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時代小説

「木挽町のあだ討ち」永井紗耶子

あらすじ

江戸時代。1月の寒い夜に、往来で美少年が大男に斬りかかり、父の仇討ちを果たすという事件が起きる。それから2年後、その場に居合わせた人々からそれぞれの物語を聞くうちに、仇討ち事件の真相が明らかになっていく。

感想

面白かった~!
途中からなんとなくカラクリが読めなくもないんだけど、最後まで楽しかった。

何より、どの語り手の話もとてもよかった。これこれ!こういう群像劇が読みたかったんだよ~っていう感じ。久蔵とお与根さんの話は泣いた……。二人のほたるさんの話もよかったし、金治のもよかった……つまり皆よかった……。

オーディブルはいろんな声優さんが朗読していて豪華。

 

「まいまいつぶろ」村木嵐

あらすじ

江戸時代、体が不自由で言葉もうまく話せない将軍と、その「口」となって傍で支え続けた者の話。

感想

とても読みやすかった。序盤は面白かった。ドラマチックな展開みたいなのはあまりない。

※以下ネタバレ&ややネガティブ※

時代もので女性の扱いが酷くても全く気にせず楽しめるけど、この本はなんか引っかかって、何でだろうと考えたら、主役の2人に関しての見方が妙に現代的だからかなと思った。そこに対しては思慮や思いやりがあるのに……みたいな。家重をあれだけ思いやれる忠光が家族を極端に顧みないのも不自然な感じもする。家重の幸の扱いもそう。そのあたりがちぐはぐな感じがして主役の2人に感情移入できなかった。

 

 

ロマンス

「Lovelight Farms」B.K. Borison

あらすじ

ステラは小さな町でクリスマスツリーの生産を手掛けている。事業の経営に行き詰ったステラはインフルエンサーに取材に来てもらって集客を図ろうとするが、応募時に「彼氏と共同経営している」と嘘をついてしまう(カップルで経営していると注目されやすいため)。取材してもらえることになったステラは、嘘をごまかすために長年の友人であり片思いの相手であるルカに彼氏役をしてほしいと頼む。

感想

オーディブルで耳読書。ちょっと前にかなり流行ってた本。装丁とタイトルがとにかく可愛い。

両片思いの友人同士→恋人のふり、という設定は好みド真ん中だったんだけど、いまいちハマれず後半は流し聴き……。

 

「ヴェリティ/真実」(旧版「秘めた情事が終わるとき」)コリーン・フーヴァー

あらすじ

売れない作家のローウェンは、事故の後遺症で執筆ができないベストセラー作家の代わりに人気シリーズを引き継ぐという仕事を引き受ける。人気作家の仕事場を兼ねた自宅に滞在して仕事をすることになったローウェンは、そこで献身的に妻を介護する夫のジェレミーに惹かれていく。

感想(※ネタバレあり)

これはどういうジャンルになるんだろう?女性向けエロサスペンス?ロマンスではないよな。訳書の旧版の装丁がロマンスに見えるんだけど、奥付にちゃんと「ザ・ミステリ・コレクション」って書いてあった。よかった。これを普通にロマンスだと思って買ったら大変なことになってた。

読む前に「後味が悪い」というレビューをいくつか読んでたので、心の準備はばっちり。

全体にB級サスペンス映画感が漂う:主人公に危機感がない(なぜ危ないほうへ行く?)、やたら濡れ場が多い(ヤっとる場合かー!!)、アホな選択ばかりするキャラクター達(最終盤のローウェンさぁ……)、メイン人物の誰も好きになれない……。

たぶん最後のどんでん返しが売り?なんだろうけど、あのまま一本調子で終わるはずないので、何かあるんだろうな、というのは予想がつく。
私は続きもの以外は綺麗に終わってほしいタイプだから、不可解な部分が残ったままなのは好みじゃない。

読み始めてから一度も本を置かずに一気に読んだ。先が気になってどんどん読んでしまう。訳もカタカナ多めの軽い感じで読みやすく、物語の不気味で不穏な雰囲気と相まって昔のケータイ小説とかノベルゲームを思い出した。初コリーン・フーヴァーだったけど、これは売れるのも分かる。

英語版はオーディブルの聴き放題にあったので、聞きながら読んだ。ローウェンとヴェリティの語りは違う人が朗読するという贅沢仕様で、とてもよかった。

英語学習目的にも、エロとダークな内容がOKな大人なら超おすすめ。児童書よりよっぽど読みやすいと思う。気がついたら最後まで読み終えてるはず。

昔みたいに全てを日本語にする翻訳だったら、ヴェリティは真実(まみ)さんって訳されたのかな、とかくだらないことを考えてる。

 

和書を英語版と一緒に読む

「わたしの幸せな結婚」「暦物語」

 

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「世界から猫が消えたなら」川村元気

あらすじ

郵便配達員をしている主人公は、30歳にして突然病気が判明し、余命わずかと宣告される。愕然とする彼の前に悪魔が現れ、世界から1つ何かを消す代わりに、余命を1日延ばしてやると言う。

感想

文章がとても読みやすくて、本を読んでいるというより映像作品を見ている感じがするという点で、「アリアドネの糸」を思い出した。

猫、映画、手紙、が好きな人におすすめ。私は猫より犬派、映画より本派だけど、手紙が好きなので何だか共感できて嬉しいシーンがあった。

会話とかでユーモラスなところがいい。

その将棋の秒読みみたいなのはやめてください!(p.37)

OK, can you cut it out with the mission control thing? (p.31)

ここ笑った。訳も好き。

終盤の、悪魔の姿についての解釈も面白かった。

途中でいきなり言葉が羅列される場面が複数あるんだけど、そこはちょっと戸惑ったかも。