ペーパーバックの虜

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「ミッドナイト・ライブラリー」マット・ヘイグ あらすじと感想

 

日本の洋書ランキングでもロングセラーになっている「ミッドナイト・ライブラリー」の原書(英語版)と日本語版を読みました。後悔へどう向き合うか、をテーマにした物語だと思います。主人公の心情があまりにも共感できて、自分のために書かれたんじゃないかと思うほどでした。英語も読みやすくて、原書で読む人が多いのも頷けます。

 

 

あらすじ

ロンドン郊外に住む35歳のノーラは、孤独で憂鬱な暮らしを送っていた。家族や友人とも疎遠なうえ、職を失い、飼い猫も亡くしたノーラは、とうとう自殺を図る。目を覚ましたノーラは、不思議な図書館にいた。その図書館では、過去に自分が違う選択をした場合の世界線に行けると司書は言う。人生の選択に後悔だらけだったノーラは、あらゆる世界線の自分に転移していく。

 

感想

人生の選択に後悔している人へ

この本は、過去にした選択に後悔している人におすすめです。

特に、環境に多少問題はあったにせよ、自分でよりよい選択ができたはずであり、チャンスを棒に振ってしまった、チャンスから逃げてしまった、と自分を責め続けている人には、とても刺さると思います。私がまさにそれです。

 

I had all the chances to make something of my life, and I blew every one of them. (p.23)


この人生を意味のあるものにできるチャンスだって、私にはいっぱいあったんだと思う。でも私はその全部をことごとくだめにしてきた。(p.42)

 

この文を読んでなにか思うところがある人には、ぜひ読んでみてほしいと思います。

逆に言うと、特に人生でやり直したいことはない、過去の失敗も含めて現在を受け入れられている視野の広い人には、もしかしたら説教臭い(自己啓発書っぽい?)とか、都合がいい物語みたいに感じられるかもしれません。

 

ポーンのように一歩ずつ

物語のなかで、ノーラを導く案内役の司書は様々なアドバイスをノーラに与えます。

チェスが好きな司書は、たびたびチェスになぞらえて助言をするのですが、その中でも私がいいなと思ったのが、ポーンについてのものです。

 

Because a pawn is never just a pawn. A pawn is a queen-in-waiting. All you need to do is find a way to keep moving forward. One square after another. And you can get to the other side and unlock all kinds of power. (p.188)

 

ポーンはただポーンなのではない。出番を待っているクイーンなんです。ですからプレイヤーがすべきなのは、前へ進み続ける道を見つけ出すことだけです。次のマスへ、次のマスへと一つずつ。そうすればいつか反対側の端にたどり着き、すべての力を解き放つことが叶うのです (p.286)

 

チェスがまったく分からないのでルールを調べてみましたが、ポーンは将棋でいう「歩」みたいな駒なんですね。

でも将棋と違って、「成る」ことができるのはポーンだけ。しかも最強のクイーンになることができます。

一歩ずつしか進めず、決して後退はできない。でも端までたどり着いたら、最弱の駒から最強の駒になれる。なんかすごいロマンある……!

 

英語版は Penguin Books 版を買ったのですが、表紙にポーンが描いてあって嬉しい。

この装丁、本書で登場するものが散りばめられていて、とても好きです。

読み終わったあとに本を閉じて、00:00:00 と一緒に、猫とかクジラとかマイクスタンドとか見ると、何ともいえない気持ちでいっぱいになります。

 

Bridge Over Troubled Water

余談ですが、作中にサイモン & ガーファンクルの "Bridge Over Troubled Water" という曲が出てきます。

何か聞いたことあるな~と思って YouTubeで聞いてみたら、うっかり感動しました。

曲は知っていましたが、歌詞は知りませんでした。曲だけじゃなくて、歌詞もこんなによかったんだ……。

寄り添うような詩が、この本にもぴったりだと思うので、読書のお供としてもいいかもしれません。

 

www.youtube.com

 

 

この一瞬の行動が、いろんな世界につながっていく

結末というか、ノーラが出す結論は初めから予想がつくんだけど、どういう理由になるのか知りたい気持ちで読み進めました。

いい評判やレビューをかなり見ていたので、期待しすぎていたのか、斬新な展開ではないとも感じましたが、それでも、読んでよかったです。

後悔してないで、一瞬を大事にしよう、と背中を押してもらった気分になりました。

 

Every second of every day we are entering a new universe. (p.179)


だって私たちは、一秒ごとに新たな宇宙に足を踏み入れているのだから。(p.274)

 

英語版はオーディオブックもおすすめ

英語版は現在、オーディブルで聞き放題の対象になっています。

ナレーターは女性。再生時間は約9時間。

原書タイトルの The Midnight Library で検索すると出てきます。

 

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