ペーパーバックの虜

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「夜のサーカス」エリン・モーゲンスターン あらすじと感想

サーカスを舞台にした幻想的なファンタジー小説「夜のサーカス」を、英語(原書:The Night Circus)と日本語で読みました。

幻想的な雰囲気にひたすら浸りたい!というときにオススメの本です。

 

 

あらすじ

少女シーリアの父は著名な手品師。彼は手品と称して本物の魔法を使っていた。シーリアは父から魔法を学んでいく。やがて父は魔術師の知人に、弟子同士を競わせるゲームを持ち掛け、シーリアはゲームに参加させられる。

 

感想(※ネタバレあり)

※ネタバレ&否定的な感想も含むので、ご注意ください。

幻想的なファンタジー小説。恋愛要素もあるにはあるけど、ロマンスとしては全く楽しめませんでした。

とにかく雰囲気を楽しむ小説だと思います。設定や舞台はとても好みでした。サーカス、タロット占い、奇術、超能力を持つ少女、幻術を操るハンサムな秘書……。

タイトルも装丁も好きで、読むのをずっと楽しみにしていた本だったんだけど……。

文章は美しいけれど冗長で、話が一向に進まないように感じられました。

あと、論理的というか、筋の通った話を期待している人には向かないと思います。とにかくいろいろなことがフワフワしていて、わりと何も納得できずに終わる。

恋愛要素も、いきなり「君がいなきゃ生きていけない!」みたいになるからついていけない。イゾベルが足抜けできて本当によかった。一番性格がよさそう。こんなところから抜け出して幸せになってもらいたい。

好き嫌いが分かれそうだな~と思ってgoodreadsとか見たら、レビューも評価がはっきり分かれていた感じでした。わかる。

描写がとても細かいし、時間も場所も行きつ戻りつしながらゆっくり進むから、幻想的な雰囲気にどっぷり浸かりたい人には、ものすごくおすすめです。

ページ数も結構あって(訳書は557ページ)、原書のオーディオブックは13時間以上と長め。

ネガティブなことも書いたけど、本の良し悪しというよりも、私(読み手)の好みとか状態によるものと思います。今回はタイミングが悪かったかも。

昔、幻想的な小説にハマッていた時があって、フランチェスカ・リア・ブロックとか読んでた記憶があるのですが、そういう時に読んだらドハマリしていたかもしれません。

プロットとかどうでもいいから、幻覚のような美しいサーカスと奇術の世界に酔いしれたい!という人には超超おすすめしたい本です。

翻訳は物語の雰囲気にぴったりでとても好きでした。

設定とかは本っ当~に好きなんです。こういう設定で書かれたエンタメ小説が読みたい。

 

When the battles are fought and won and lost, when the pirates find their treasures and the dragons eat their foes for breakfast with a nice cup of Lapsang souchong, someone needs to tell their bits of overlapping narrative. There’s magic in that.(p.482)

戦いがおこなわれ、勝敗がついたとき、海賊たちが宝物を発見し、ドラゴンが一杯の美味なラプサンスーチョンを飲みながら敵を朝飯代わりに食べたとき、誰かがそういう断片をつなぎあわせて語る必要がある。そこに魔法があるのだ。(p.544)