ペーパーバックの虜

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「ハンガー・ゲーム」シリーズ 感想 映画と原作小説の違いなど

ディストピア風の世界で、少女が生き残りをかけて戦う「ハンガー・ゲーム」シリーズ。

映画は全部みていましたが、原作の小説は読んでいなかったので、読んでみました。

読み終わって、もう一度映画を見て、感想と、映画と原作の違いなどをまとめてみました。

 

シリーズについて

本編:三部作

本編は、三部作の構成になっています。

  1. The Hunger Games / ハンガー・ゲーム
  2. Catching Fire / ハンガー・ゲーム2 燃え広がる炎
  3. Mockingjay / ハンガー・ゲーム3 マネシカケスの少女

映画もこれに準拠していますが、第3巻は2作に分けて映画化されており、全4作となっています。

  1. ハンガー・ゲーム
  2. ハンガー・ゲーム2
  3. ハンガー・ゲーム FINAL: レジスタンス
  4. ハンガー・ゲーム FINAL: レボリューション

スピンオフ作品

さらに、本編完結後、敵役や脇役を主人公にしたスピンオフが展開されています。

  • The Ballad of Songbirds and Snakes / ハンガー・ゲーム0 少女は鳥のように歌い、ヘビとともに戦う
  • Sunrise on the Reaping (2025年発売予定)

前者は、本編では主人公たちの敵であった悪役、スノー大統領を主人公にして、彼の青年時代を描いています。本編の前日譚にあたります。

「ハンガー・ゲーム0」として映画化もされました。

Sunrise on the Reaping は、主人公たちの指導役、ヘイミッチが主人公。彼がハンガー・ゲームに参加したときの話になるようです。

時系列としては、こちらも本編の前日譚にあたります。

2025年3月に原書が発売予定。こちらも映画化が進められており、2026年に公開予定と報道されています。

 

スノー大統領のスピンオフは、英語のウィキペディアのページで物語の概要が結末まで読めるので、気になる方は参考になるかもしれません。

やや長めの小説で、オーディオブックは16時間以上あります。

原書の英語版はオーディブルの聴き放題に入っています(2024年10月現在)。本編はかなり読みやすかったので、耳読書もしやすいと思います。

 

私は前日譚にはあまり興味がなく、好きなシリーズでも読まないことが多いのですが、ヘイミッチの過去はずっと気になっていたので、Sunrise~が発売したら、あらすじとレビューをチェックして、読むかどうか決めるつもりです。

 

ハンガー・ゲーム

ここからは、各巻の簡単な感想と、映画との比較などを書いていきます。

感想はすべてネタバレを含むので、未読のかたはご注意ください。

まずは、第1巻から。

あらすじ

物語の舞台は、未来の北米。大きな戦争があった後で、首都キャピトルが国の実権を握り、他の12の地区はキャピトルの奴隷のような扱いを受けている。この国では毎年、12の各地区から男女1名ずつ子供を選出し、殺し合いをさせるハンガー・ゲームという残虐な催しがある。主人公の17歳の少女、カットニスは、妹の身代わりになり、そのゲームに参加する。

感想(※ネタバレあり)

妹のプリムがとにかく可愛い。姉妹愛が大好きなので、そこが一番刺さりました。

“Tuck your tail in, little duck,” I say, smoothing the blouse back in place.

Prim giggles and gives me a small “Quack.” (pp.15-16)

「しっぽを隠しなさい、小さなアヒルさん」

妹をからかうと、わたしはブラウスをたくしこんでやった。

プリムはくすっと笑って、「ガーガー」と小さく鳴いてみせる。(p.32)

このシーンのプリムがかわいすぎる。

 

ハンガー・ゲームの設定は面白いと思いました。スポンサーとか差し入れの概念が今っぽい。

子供が理不尽に恐ろしい目に遭うのは、読んでいてつらかったです。ティーン向けの小説なんだし、もうちょっとお手柔らかにしてほしかったかも。特に最後のケイトーとミュットのくだりは、あまりにも惨い。あそこまで残酷にしなくても、絶望や悲愴感はじゅうぶん伝わってるのに~……とは思いました。

カットニスとピータは、わりと好きになれる主役のように感じました。

 

映画と原作小説の違い

まず、続編も含めてシリーズ全体に言えることとして、映画は基本的に、オリジナル要素はほぼ無く、小説を映画の尺に合わせて短くカットしたものになっています。

小説は、恋愛などカットニスの心情を詳しく描写しているのに対し、映画はハンガー・ゲームに焦点を当てており、よりアクション要素が強調されています。

小説は心情や日常の描写がやや詳しく描かれているので、映画のほうがテンポがいいと感じるかもしれません。

映画で省略された部分についてのメモ

  • ゲイル:私は最初に映画の3を見たとき、ゲイルが急に豹変したように感じたけど、原作では最初からゲイルがキャピトルを憎んでいる描写があった
  • アボックスの少女:アボックスの女の子とのエピソードで泣いてしまった。映画でカットされたの悲しい……

 

ハンガー・ゲーム2 燃え広がる炎

続いて、第2巻です。

あらすじ

ハンガーゲームを生き残ったカットニスは、自分の意図しないうちに各地区の反乱を引き起こし、国家統治への脅威として見なされて、大統領スノーに脅迫される。自分や家族を守るためにはピータと結婚しなくてはならなくなり、幼馴染のゲイルとの間で気持ちが揺れる。

感想(※ネタバレあり)

原作は恋愛要素が多い

今回もハンガー・ゲームが開催されるけれど、原作ではかなり後半になってから。

メインは各地区がキャピトルに反乱を起こすまでの経緯を背景に、カットニスとピータ、ゲイルの三角関係が物語の中心になっています。1巻よりも更に恋愛よりになっている感じ。
私は三角関係は苦手ですが、カットニスは基本的には恋愛よりも家族や周囲の人たちの命の危機や生活を優先して考えるというスタンスなので、そこまでストレスにはならなかったです。
とにかく、今回はハンガー・ゲームのサバイバルアクションや敵との駆け引きの要素は少なく、恋愛の心情描写が多かった印象があるので、サバイバルゲーム小説を期待するとちょっと肩透かしを食らうかもしれません。


ピータとゲイル

私は青山剛昌先生に勝るとも劣らない幼馴染信者なので、1巻の最初はゲイル派でしたが、今ではすっかりピータ推しに。まあ、1巻からずっとピータの方が魅力的に描かれていたように思えるけど、2巻は特に顕著だったように思います。というか、ゲイルはちょっとキャラが掴みきれない。カットニスに「一緒に逃げてほしい」と言われて、「状況による」のがゲイル、「絶対に一緒に行く」のがピータ、というのが2人の決定的な違いなのかな。
カットニスとゲイルの口論のところはちょっと無理矢理な感じもしないでもない? ゲイルがぶれぶれというか。
それにしても、ゲイルに断られてすぐにピータに聞くあたりはちょっと笑ってしまいました。ピータは本当に献身的だな~。カットニスにどこまでもついていきそう。かわいい。
1巻と違って、最後まったく解決しないまま終わるので、3巻を手元に用意してから読むのをおすすめします。
ヘイミッチの若い頃気になる~と思ったら、来年スピンオフが出る模様。ちょっと楽しみです。

映画と原作小説の違い

1と同じで、原作に対してオリジナル要素がほぼなく、省略のみ。また、小説よりテンポがいいと感じるのも1と同様です。

ただ、1と比べると2のほうが省略が多いと思います。

映画では後半のハンガー・ゲームの出場をメインにしているので、恋愛面では、カットニスがただ理由もなくピータとゲイルの間をフラフラしているだけに見えるし、プロット面では、何故カットニスが反乱の顔として祭り上げられるのかが分かりにくい。

また、最初に映画を見たときに、なぜシナが暴力をふるわれたのか分からなかったけれど、小説を読んで理由がわかりました。

 

ハンガー・ゲーム3 マネシカケスの少女

三部作の最終巻、第3巻。

あらすじ

第12地区がキャピトルによって爆撃され、カットニスたちは第13地区に避難する。ピータはスノー大統領に人質として拘束される。キャピトルに対抗する反乱軍の"顔"となったカットニスは、大統領スノーの暗殺を目指す。

感想(※結末までネタバレあり)

※以下かなり辛口です。明るい感想は、次の項に書いています

ペースがゆっくりで長く感じました。カットニスの心情が長々と語られ、しかも思考や決断がフラフラ揺れ動き(17歳だから当然だけど)最初から最後までそうだから読むのが途中しんどかった。
最後の最後のページまで三角関係をひっぱるのも好みじゃなかったです。むしろあれだけどっちつかずで、その後エピローグにあったように20年関係が続いたのが不思議なくらい。もうカットニスはその時(物理的に)近くにいる人が好きということでいいんじゃないかな。というか、結局、ゲイルは遠くに行ってピータが隣に来たから、という理由でしょう。このシリーズ通してやっぱり恋愛部分が合わなかったから、もっとゲーム要素、アクション要素とかの方をメインにしてほしかった。

そう思うと映画はすごくいい映画化でした、私にとっては。

ヤングアダルトのカテゴリーとされることが多いようですが、子供向けにしては残酷すぎるし、希望がないような……。
いい人に限って死んでいくのが嫌な意味でリアル。フィクションなんだから、そこは現実と変えてもいいじゃない~。プリムへの仕打ちは本当にひどい。一体なんのために今まで頑張ってきたのかという徒労感、虚しさだけが残る。アボックスの2人にも幸せになってほしかったです。
物語が進むにつれて、主人公を好きじゃなくなっていくのもつらかったです。
いっそ感傷的な感じにしないで、サバイバルゲーム的にふりきったエンタメ小説が読みたかったかも。
映画を見た時に3は「何これ?カットニスちょっとひどくない?」と思って、小説を読んだら理由とか分かるかもと思って読んだけど、特にそんなことはなかったです。

ポジティブな感想

物語の初めでは、こんな世界では子供を持ちたくない、家庭を築くことは考えられない、と言っていたカットニスがエピローグで子供たちと幸せそうにしていて、本当によかったです。このラストのシーンは映画でも印象に残っていました。

猫に八つ当たりする場面は、小説でも泣きました。こんなの絶対泣いちゃうでしょ……。

 

シリーズ全体を通して

1>2>3の順で面白かったです。

第3巻についてはネガティブな感想も書きましたが、読んでよかったシリーズです。むしろ、1、2巻が面白くて、期待しすぎてしまったパターンでした。

1は特におすすめできる小説です。

3部作なので、第1巻だけだと根本的な解決はしませんが、一区切りはつくので、1巻だけ読んでみるのもおすすめです。

 

英語について

ヤングアダルトの一人称なので、とても読みやすかったです。やや長めですが、多読にもいいと思います。

現在、オーディブルの聴き放題に英語版と日本語版の両方が1~3まで全巻そろっているのが超ありがたいです。意外と日英そろっているのは見ない気がします。

オーディオブックでは、歌の場面は詩のように朗読することが多いですが、英語版では普通に歌っていてびっくりしました。女性のナレーターで、雰囲気もぴったりなのでおすすめです。

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